売上だけを見ても利益は増えない
EC運営では、売上が伸びていると順調に見えます。
しかし、売上が増えていても、実際には利益があまり残っていないケースがあります。
特にモール運営では、仕入価格だけでなく、販売手数料、決済手数料、送料、広告費、ポイント負担、クーポン値引き、梱包資材費など、さまざまなコストが発生します。
そのため、売上金額だけを見て判断すると、利益の状態を正しく把握できません。
例えば、月商が大きく伸びていても、広告費を多く使いすぎていたり、送料無料の商品で送料負担が重かったりすると、手元に残る利益は少なくなります。
また、売れている商品ほど作業量が増えることもあります。
問い合わせ対応、発送作業、返品対応、在庫管理の負担が増えているにもかかわらず、利益が少ない商品であれば、運営全体の効率が悪くなります。
EC運営では、売上を伸ばすことも大切ですが、それ以上に「利益が残る売上」を作ることが重要です。
粗利額と粗利率を確認する
粗利を改善するために、まず確認したいのが粗利額と粗利率です。
粗利額は、販売価格から仕入価格を引いた金額です。
粗利率は、販売価格に対してどれくらい粗利があるかを示す割合です。
例えば、販売価格が10,000円で仕入価格が7,000円の場合、粗利額は3,000円です。
この場合、粗利率は30%になります。
ただし、EC運営ではこの時点で安心してはいけません。
実際には、ここから送料、手数料、広告費などが引かれます。
そのため、まずは商品ごとの基本的な粗利額と粗利率を確認し、そのうえで実際に残る利益を見ていくことが大切です。
粗利額と粗利率は、どちらか一方だけを見るのではなく、両方を見る必要があります。
粗利率が高くても、販売価格が低ければ粗利額は小さくなります。
反対に、粗利率が低くても販売価格が高く、販売数が安定していれば、利益に貢献している場合があります。
EC運営では、粗利率だけでなく、実際にいくら利益を作っているのかを見ることが重要です。
商品ごとの利益を見える化する
粗利を改善するためには、商品ごとの利益を見える化する必要があります。
全体の売上や全体の粗利だけを見ていると、どの商品が利益を作っているのか、どの商品が利益を圧迫しているのかがわかりにくくなります。
商品ごとに確認したい数字は、次のようなものです。
販売価格
仕入価格
粗利額
粗利率
送料
モール手数料
決済手数料
広告費
クーポンやポイント負担
梱包資材費
返品や交換の発生状況
最終的に残る利益
これらを商品ごとに整理すると、改善すべき商品が見えてきます。
例えば、売上ランキングでは上位の商品でも、実際には広告費や送料が大きく、利益がほとんど残っていない場合があります。
反対に、売上金額は大きくなくても、粗利が安定していて手間も少ない商品が利益に貢献していることもあります。
売上ランキングだけを見るのではなく、粗利ランキング、利益額ランキング、広告費を差し引いた利益ランキングを見ることが大切です。
商品ごとの利益が見えるようになると、価格改定、広告の停止、送料設定の見直し、販売強化すべき商品の判断がしやすくなります。
送料・手数料・広告費を含めて考える
EC運営で粗利を改善するには、仕入価格だけでなく、送料、手数料、広告費を含めて考える必要があります。
特に見落としやすいのが送料です。
送料無料の商品はユーザーにとって魅力的ですが、販売者側にとっては大きな負担になります。
小型商品であれば問題が少なくても、大型商品や重量物では送料が利益を大きく圧迫することがあります。
また、地域によって送料が変わる商品では、遠方への発送が増えるほど利益が下がる場合もあります。
モール手数料も重要です。
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどでは、それぞれ販売手数料や決済手数料が発生します。
モールごとに手数料が違うため、同じ商品でも販売先によって利益が変わることがあります。
広告費についても注意が必要です。
広告を使うことで売上は伸びますが、広告費を差し引いた後に利益が残っているかを確認しなければなりません。
売上が増えていても、広告費を使いすぎている場合は、実際には利益が少ない可能性があります。
粗利改善では、次のような視点で確認すると整理しやすくなります。
送料を価格に反映できているか
送料無料の条件は適切か
モール手数料を考慮した価格になっているか
広告費をかけても利益が残っているか
クーポンやポイント負担で粗利が下がりすぎていないか
大型商品や低単価商品の利益が残っているか
EC運営では、販売価格と仕入価格だけではなく、販売にかかる周辺コストまで含めて利益を見ることが重要です。
値上げできる商品を見つける
粗利を改善する方法の一つが、価格改定です。
ただし、すべての商品を一律で値上げすればよいわけではありません。
値上げしても売れやすい商品と、価格に敏感で売上が落ちやすい商品があります。
値上げを検討しやすい商品には、次のような特徴があります。
競合が少ない商品
専門性が高い商品
在庫が限られている商品
リピート購入される商品
急ぎで必要とされる商品
適合情報やサポートに価値がある商品
他社より商品ページがわかりやすい商品
特に専門商材や自動車部品では、単純な価格だけでなく、適合情報のわかりやすさ、発送の早さ、問い合わせ対応、信頼感が購入判断に影響します。
そのため、価格を少し上げても、商品ページの情報が整理されていて安心して購入できる状態であれば、売上への影響が小さい場合があります。
一方で、競合が多く、価格比較されやすい商品は、値上げによって販売数が落ちる可能性があります。
価格改定を行うときは、いきなり大きく変えるのではなく、商品ごとに状況を見ながら少しずつ調整することが大切です。
値上げ後は、販売数、アクセス数、購入率、粗利額の変化を確認しましょう。
販売数が少し下がっても、粗利額が増えていれば、結果として利益改善につながる場合があります。
在庫回転と販売数も確認する
粗利を改善するときは、粗利率だけでなく、在庫回転や販売数も見る必要があります。
粗利率が高い商品でも、ほとんど売れなければ利益にはつながりません。
反対に、粗利率がそこまで高くなくても、安定して売れて在庫回転が良い商品は、全体の利益に貢献します。
在庫を多く持つ商品では、売れ残りのリスクも考える必要があります。
長期間売れない商品は、保管スペースを圧迫します。
また、型落ちや仕様変更、需要の低下によって、後から値下げしなければならない場合もあります。
そのため、商品ごとに次のような数字を確認するとよいです。
月間販売数
在庫数
在庫回転率
最終販売日
販売までにかかる期間
不良在庫の有無
値下げ販売の頻度
粗利率が高い商品でも在庫が動いていなければ、販売方法や価格を見直す必要があります。
一方で、安定して売れている商品は、在庫切れを防ぎながら利益を最大化することが重要です。
EC運営では、利益率だけではなく、商品がどれくらいのスピードで売れているかも確認しましょう。
粗利改善を進める優先順位
粗利改善では、すべての商品を一度に見直そうとすると時間がかかります。
まずは、影響が大きい商品から優先的に確認することが大切です。
優先して見るべき商品は、次のような商品です。
売上が大きい商品
販売数が多い商品
広告費を使っている商品
送料負担が大きい商品
粗利率が低い商品
返品やキャンセルが多い商品
在庫金額が大きい商品
今後伸ばしたい商品
特に、売上が大きい商品は少しの改善でも全体への影響が大きくなります。
販売価格を数%見直すだけでも、月間では大きな利益改善になることがあります。
また、広告費を使っている商品は、広告費を差し引いた利益を必ず確認する必要があります。
広告経由で売れていても、利益が残っていない場合は、広告の出し方や価格設定を見直すべきです。
送料負担が大きい商品も重要です。
大型商品や重量物は、配送条件によって利益が大きく変わります。
粗利改善は、単に値上げすることではありません。
利益が残る商品を見極め、価格、送料、広告、在庫、商品ページを総合的に見直すことが大切です。